Graduate school admission

大学院進学を目指す皆さんへ

大学院進学を目指す皆さんへ

大学院では臨床検査分野の未解決の課題を論理的に解明し、
学会発表や論文として発信する技術を身につけることができます。

本ページでは大学院へ進学を目指す大学生や社会人の皆さんに役立つ情報を掲載しています。ぜひ大学院に進学し、自身が解明した知見を社会に発信してください。

社会人大学院制度

病院で勤務を続けながらの大学院進学を支援する制度

国立大学は、現在の病院で勤務を続けながら大学院修士課程・博士後期課程へ進学できる『社会人大学院制度』を準備しています。皆様の臨床検査のお仕事の中で、社会に発信したいことはありませんか。臨床の現場で浮かび上がった疑問を、論理的に解明し、学会発表や論文として発信すれば、自分だけの知見が多くの人の助けにもなります。是非、大学院進学を目指してください。

個別資格審査制度

3年制の臨床検査技師養成校を卒業後、修士課程に進学する制度

国立大学では、3年制の臨床検査技師養成校を卒業された方に、修士課程に直接進学していただける『個別資格審査制度』も準備しています。

※ これらの制度の詳細については、各大学のホームページをご参照ください。

Significance

臨床検査のコースの学生における進学率の増加

近年、臨床検査のコースに大学院が設置され、臨床検査に関わる大学院への進学という選択肢ができました。それ以来、継続的に院卒者が輩出されています。
大学院では自分自身の研究テーマを持って課題に取り組むことになります。課題解決に向けて、どのような課題があるのか、どのような研究手法で取り組めば良いか、どのような計画で実施するか、どのような結果が推測できるか、などを深く考える機会が得られます。このような経験は、課題発見能力、課題解決能力、ディスカッション能力、コミュニケーション能力などを養うことができます。この力は、臨床検査技師が必要とされる能力であると同時に、他のどの職種にも重要なスキルとなります。学部卒では時間的にも難しいため、大学院で研鑽を積むことをお薦めします。
研究テーマについては多種多様です。臨床検査のコースはおよそ保健学科に属します。英語で保健はHealth Sciencesです。つまり、ヒトの健康を助けることや、病気の成り立ちを解明することが専門です。このような専門的知識や技術を身に付けた学生は後述する色々な分野で需要があります。
こうした背景から、近年院卒者が増えています。大学院を出てから臨床検査技師として働く先輩や後述の他の職種で活躍する先輩が居ます。

臨床検査技師以外の就職先の拡大

臨床検査を学んだ学生は、国家資格が得られれば臨床検査技師になって医療現場で働くことができます。一方で、近年は臨床検査の知識を活かして、医療関係の企業への就職も多くなっています(例えば、医療機器や試薬開発メーカーなど)。増加の理由として、他の学部/学院と異なる専門性があることが考えられます。多種多様な臨床検査を学ぶことは、ヒトの知識を応用でき、検査や分析という汎用性ある知識や技術を習得でき、ヒトのデータの品質や情報を管理できることなどに繋がります。その他の企業へ就職する先輩も居ます。例えば、一見すると医療とは直接関係のなさそうな食品、家庭用製品、化粧品メーカーなどにも、他の学部とは異なる専門性を持つことがアドバンテージになって採用に繋がっています。従って、大学院での教育/研究の結果、ヒトの知識が活かされる分野、分析の技術や開発に関連する分野、ヒトや食品などの品質管理を行う分野などに幅広く貢献します。
研究開発部門への就職先希望者には大学院進学を勧めます。研究開発部門では、大学院卒(修士卒、博士卒)の採用が一般的であるからです。
研究者や教育者への希望者にも大学院進学を勧めます。大学での教員採用には、大学院卒(博士卒)が一般的であるからです。
また、学術振興会特別研究員や民間助成などの生活助成金を受けられる制度も拡充しつつあります。金銭面の不安が理由で進学を諦める前に、ぜひ一度調べてみてください。

国立大学の大学院に進学することの意義

国立大学では最先端の研究課題に挑戦しているラボが多数あります。研究設備や研究環境が充実しています。ラボによっては留学生を受け入れたり、他学部や企業との共同研究などを行っていたりします。このように、研究活動が盛んなことが魅力の一つと考えられます。さらに、国立大学では大学院生が多いため、同志と一緒に生活することが財産になるでしょう。

Curriculum

一般に修士は2年、博士は3年の課程(医学の課程は4年)で編成されますが、修士を取得せずに5年をかけて博士を取得するプログラムもあります。人材養成目的、求める人材像、カリキュラム構成、学位取得要件は、大学や学位プログラムごとに異なります。各大学のカリキュラムは以下の大学院紹介をご確認ください。

Introduction to Graduate Schools

大学院では臨床検査技術の分野で活躍できる人材育成を目指し、さまざまな取り組みを行なっております。各大学院の特徴をご紹介します。

After graduating

修士課程(博士前期課程)修了後の進路

2022年度の修士課程修了後の進路として約5割が民間企業、約4割が病院や研究機関等への就職、約1割が博士後期課程に進学しています。修士課程修了後に就職する民間企業として、臨床試験を請け負う医薬品開発業務受託機関 (Contract Research Organization)、検査機器会社、製薬企業、バイオ系企業などの一部上場企業があり、病院就職よりも福利厚生や給与面での利点があることが民間企業への就職の増加へと繋がっています。また、企業側からしても臨床検体を取り扱うことができること、医学系の知識を備え、かつ研究手技を兼ね備えた大学院生は魅力的であり、この点からも医学知識の無い他学部の学生を雇うよりは遙かに利便性があると言えます。医学的な背景を有し、研究手技を身につけた検査技師の大学院生は、他の学部の大学院生以上に医療系企業の就職に有利と考えられます。

一方、修士課程修了後に博士後期課程に進学する学生は約1割で、他学部と同様に日本の大学で問題視されている博士後期大学院生の減少が認められ、修士課程大学院生が増加しているにもかかわらず博士後期大学院生の増加は顕著ではありません。アカデミア人口の危機的減少を鑑みて、文科省は「卓越大学院プログラム」を公募し、国立大学で修士課程・博士後期課程一貫して学生に奨学金を支給する制度が始まっています。これらの制度を積極的に利用することにより博士後期課程の進学率が増加していくことが期待されます。

修士課程修了者 進路

修士課程修了者 進路のグラフ 就職:87.4% 進学:9.9% 未定:2.7%

修士課程修了者 就職先内訳

修士課程修了者 就職先内訳のグラフ 民間企業:58.1% 大学病院:14.9% 一般病院:9.2%が上位となっている

修士課程修了者 進学先内訳

修士課程修了者 進学先内訳のグラフ 出身校の大学院/医学(系)研究科:92.4% 出身校の大学院/他研究科:3.8% 出身校以外の大学院:3.8%

修士課程修了後の主な進路

民間企業や医療機関に就職する割合が多い。大学院博士後期課程に進学する方は1割ほど。

  • 病院(国公立、準公立、一般)
  • 検査センター
  • 企業(機器メーカー、製薬会社など)
  • 博士後期課程へ進学
※2022年度のデータです。

博士後期課程修了後の進路

2022年度の博士後期課程修了後の進路として、約2割が民間企業へ就職、約3割が病院就職、約4割が大学教員、研究員、研究機関への就職となっています。文部科学省は2019年度から卓越大学院プログラムを開始し、経済的に学生を支援することにより博士後期課程への進学率の向上を推進しています。今後、大学院生の増加と共に卒業後のポストドクター制度や研究員の経済的支援が期待されます。

このように社会が求める医療ニーズの多様化に伴い、臨床検査技師の活躍の場が病院に限らず多方面へと広がりを見せているのが現状です。大学院進学は進路の選択肢を増やし、幅広い視野から医療人としての自らの可能性を広げていける良い機会です。機会があれば積極的に挑戦してみてはどうでしょうか。

博士後期課程修了者 進路

博士後期課程修了者 進路のグラフ 就職:90.3% 進学:9.7%

博士後期課程修了者 就職先内訳

博士後期課程修了者 就職先内訳のグラフ 民間企業:21.4% 大学等教員:21.4% 大学病院:10.7% ポスドク・研究員:10.7% 公立病院:10.7%が上位となっている

博士後期課程修了後の主な進路

研究者・教職員として、大学や研究機関へ就職する割合が多い。民間企業や医療機関への就職も合わせて5割ほどいる。

  • ポスドク(研究員)
  • 大学教職員
  • 研究機関
  • 病院(国公立、準公立)
  • 企業(機器メーカー、製薬会社など)
※2022年度のデータです。