About us

国立大学臨床検査技師
教育協議会とは

国立大学臨床検査技師教育協議会とは

国立大学臨床検査技師教育協議会(略称 国臨教)は、臨床検査技師教育を⾏う国⽴⼤学相互間にて緊密な連携で協⼒し、臨床検査技師育成に振興寄与することを目的として1990年4月1日に設立されました。

この目的を達成するために、次に掲げる事業を行なっています。

  1. 臨床検査技師育成の振興に必要な調査研究
  2. 教育及び研究上の会員校相互の協力援助に関する事項
  3. その他、本会の目的達成に必要な事項
Message
勝田 仁博士(医学)のプロフィール写真

勝田 仁博士(医学)

国立大学臨床検査技師教育協議会・理事長
九州大学大学院 医学研究院保健学部門 検査技術科学分野・教授

この度、国立大学臨床検査技師教育協議会(国臨教)のホームページを開設いたしました。本会を代表してご挨拶申し上げます。

国臨教とは

現在、臨床検査技師養成課程を有する国立大学は21校あり、それぞれの大学は、臨床検査技師としての基礎を学ぶ「学部教育」、研究を立案し遂行する力を養う「大学院教育」を通して、臨床検査技師としての資質を備えた人材の育成を進めています。さらに、「臨床検査技師の生涯教育」などを通して地域の医療を支えるとともに、「先進的な研究・開発」を推進し、これからの臨床検査分野をリードする社会的に重要な責務も担っています。
国立大学は、これらの教育、研究と医療における責務に連携して取り組むために、国立大学臨床検査技師教育協議会(国臨教)を組織しています。

国臨教が考える“これからの臨床検査技師に求められること”

近年、臨床検査の分野は、AI(artificial intelligence)をはじめとした科学技術の革新により急速に進歩しています。そのような中、国臨教では、これからの臨床検査技師には、大きく分けて5つのことが求められていると考えています。基盤となるのは、①医療人としての豊かな人間性であり、その上で、② 臨床検査技師としての高度で幅広い専門性、③ 臨床検査分野の臨床研究を含めた先進的な研究・開発、さらに、④ これらをグローバルに進める国際性、そして、⑤ 臨床検査の知識や技術を、医療の分野に限らず様々な分野に展開し、未来に向けて新しい社会を創出していくことも求められています。

国臨教の取り組み

このような社会的責務を果たすため、国臨教では、次の4つを柱として取り組んでいます。

  1. 教育・人材育成: 臨床検査を担う人材を育成するために、臨床検査技師を目指す初等・中等教育課程の学生、臨床検査分野の高等教育課程の学生および教員、臨床検査の業務に従事する臨床検査技師に対する国際化を含むキャリアディベロップメントを支援する。
  2. 研究・開発: 先進的な研究・開発を推進するために、産官学の枠を超えた国際的・学際的研究環境を整備し、さらに、臨床検査学としての学問体系を確立する。
  3. 臨床検査学関連機関との連携: 臨床検査学に関わる各機関と連携し、将来の臨床検査のあり方を見据え、長期ビジョンに立って我が国の臨床検査教育を牽引する。また、国立大学間でも、学生や教員の交流や共同研究を推進し、連携して、教育・研究・地域医療へ貢献する。
  4. 新しい社会の創造: 医療の分野に限らず幅広い分野との連携を促進し、臨床検査の知識や技術を広く社会に展開することで、未来に向けて新しい社会を創造する。

1. 教育・人材育成

高校生および学部生・大学院生(社会人を含む)に対する国際化も含んだ支援

臨床検査技師は、診断、治療法の選択、治療効果の判定に重要なデータを担うエキスパートです。臨床検査技師を目指す高校生の皆さんは、是非、この国臨教ホームページの「高校生の皆さんへ」のページをご覧ください。全国の国立大学の若手の教員が中心となって、皆さんの進路選択に役に立つ情報を掲載しています。それから、各大学の「オープンキャンパス」を訪れてみてください。皆さんの先輩が、大学でどのようなことを学び、何を目指しているのか感じ取ってもらえると思います。皆さんの良きロールモデルとなる先輩と出会えると思います。
また、既に臨床検査技師として臨床の最前線で活躍されている皆様へ、国立大学は、現在の病院で勤務を続けながら大学院修士課程・博士後期課程へ進学できる「社会人大学院制度」を準備しています。皆様の臨床検査の仕事の中で、社会に発信したいことはありませんか。大学院では、臨床の現場で浮かび上がった疑問を、論理的に解明し、学会発表や論文として発信する技術を身につけることができます。臨床の現場で発見したことを論文などとして発信すれば、自分だけの知見が多くの人の助けにもなります。是非、大学院進学を目指してください。
さらに、国立大学では、3年制の臨床検査技師養成校を卒業された方が、修士課程に進学できる「個別資格審査制度」も準備しています。是非、大学院に進学し、臨床検査の最前線で得られた知見を、社会に発信してください。詳しくはこの国臨教ホームページの「大学院を目指す皆さんへ」のページをご覧ください。
また、新型コロナウイルスの検出において日本の企業が開発した(Loop-mediated isothermal amplification)LAMP法が世界的に普及したり、各種測定法の国際標準化が進む中、臨床検査の分野でも国際化が重要になっています。この国臨教ホームページの「国際交流」のページでは、国際交流に関する情報を共有し、世界中の幅広い分野において国際交流を推進していく仕組みの構築を進めています。

若手教員のキャリアディベロップメント支援

臨床検査技師教育において、4年制の保健学科が設立されまだ20年余りであり、若手育成が重要な課題となっています。全国の大学にはアクティブに活動する多くの若手教員の方々がいます。こういった先生方のキャリアディベロップメントをサポートする仕組みの構築を進めています。
具体的な方法の一つとして、国臨教のホームページに「教員紹介」のページを開設し、各教員の教育・研究活動などの情報を広く共有できるようにしました。これを通して、他の大学での学外講師といった教育実績や、共同研究などの研究実績を積み上げ、キャリアディベロップメントに繋げてもらえればと思います。もちろん、臨床検査の未来を支えるのは国立大学だけではありません。まず国立大学で運用上の課題をチェックして、将来はその他の臨床検査技師養成校の皆様、さらには臨床の最前線でご活躍の臨床検査技師、他学部や企業の研究者の皆様などにもご参加いただき、産官学の枠を超えた連携を構築したいと考えています。

2. 研究・開発

産官学の枠を超えた国際的・学際的研究環境の整備と臨床検査分野の学問体系の確立

臨床検査の分野では、研究リソース(① 研究マテリアル、② 研究設備・機器、③ 研究シーズ)が分散していることが、研究を推進していく上での一つの課題となっています。現在、臨床検体や検査データといった研究マテリアルは主に病院の検査部に存在し、研究に用いる設備・機器は大学などの研究施設にあります。また、測定法や測定機器の開発にあたっては、理学部・工学部などの他学部や企業にある研究シーズを活用することも重要となります。今後、産官学が連携して、これら分散している研究リソースを統合して、臨床検査としてオリジナリティの高い研究や技術開発を推進していく環境の整備を進めたいと考えています。
さらに、臨床検査は、診断、治療法の選択、治療効果の判定に必要なデータを取得する重要な役割を担っていることから、臨床検査学を一つの独立した学問体系として確立したいと考えています。具体的には、① 「既存の検査法の精度向上や効率化に関する研究」、に加えて、② 「疾患の診断、治療法選択、治療効果判定に有用な、新しい検査項目、測定法、測定機器の研究・開発」が、臨床検査学という学問分野のアイデンティティとなると考えられます。現在は、科学研究助成事業(科研費)の審査区分表に、臨床検査学という区分はありませんが、一つの審査区分として臨床検査学が取り入れられることも、臨床検査学を一つの学問体系として確立するために必要なことと考えています。

3. 臨床検査学関連機関との連携

日本の臨床検査は、産官学の様々な機関によって支えられています。国臨教は、これらの各機関との連携をさらに深めて、10年後、20年後を見据えて、これからの臨床検査を共に創っていきたいと考えています。
国立大学にとって、教育・研究だけではなく、臨床検査を通して、地域医療に貢献することも重要な責務です。これからの臨床検査では、新しい検査技術や機器の開発がさらに速いスピードで進んでいくと予想されます。そういった状況に対応していくために、国立大学も日本臨床衛生検査技師会(日臨技)をはじめとした皆様と連携して生涯教育にも貢献していきたいと考えています。
また、臨床検査は、全診療科の検査が対象で、広範囲にわたります。各大学の限りある人的資源を有効に活用し、臨床検査を発展させていくために、国立大学間で連携していくことも重要と考えています。単位互換制度等を利用した学生の大学間交流や、学外講師・共同研究といった教員の交流を通し、国立大学間で連携して、教育・研究・地域医療へ貢献していきたいと考えています。

4. 新しい社会の創造

近年、インターネットや人工知能技術をはじめとした情報科学技術、iPS細胞を用いた再生医療技術など、我々の社会を支えている科学技術が急速に進歩しています。また、一方で、少子高齢化といった社会構造や新型コロナ感染症のパンデミックなどの社会環境も急速に変化しています。このような社会の変化に対応していくためには、臨床検査の分野においても組織としての多様性を拡大することが重要です。
国立大学では、一般教養科目に代表されるリベラルアーツ教育や臨床検査に加えて他学部の専門科目を履修し学位を所得できるダブルディグリー制度などを通して、多様性豊かな学生の育成を進めています。その結果、卒業生は、病院、試薬・機器メーカーなどの医療系だけでなく、マスコミやIT企業、航空・運輸、金融などの幅広い業種の企業や、大学や研究所といったアカデミックポジションのほか、行政にも進んでいます。このように、国立大学は、臨床検査の知識や技術を基盤にもつ人材を、社会の様々な分野に輩出しています。実際に、このような人材は、今回のコロナ禍の中で、各企業や行政などのいろいろな分野で、臨床検査の知識を生かして感染対策などで活躍したり、IT企業との連携により遠隔医療などの新しい医療形態の創出にも貢献しています。
国立大学では、このように医療の分野に限らない幅広い分野との連携を促進し、未来に向けて新しい社会を創造していくことも目指しています。

国立大学として日本の臨床検査学にどのように貢献していくか、長期的なビジョンに立って継続的に活動していくことが重要と考えており、この「国臨教ホームページ」などを通して、国立大学の取り組みをお伝えしていきたいと考えています。
臨床検査教育に関わる多くの方々と自由に交流できる環境を作り、ディスカッションを深めながら、共に臨床検査学の未来を創っていけたらと願っております。
国臨教の活動にご支援いただきますようお願い申し上げます。

History
1990年4月1日 国立大学臨床検査技師教育協議会設立
1991年4月1日 会則改正
1993年5月28日 会則改正
1994年5月17日 会則改正
2004年6月11日 会則改正
2022年8月30日 会則改正
2023年5月26日 理事会設置
Organization chart
組織図

2023年度 理事会担当校

  • 理事長:勝田 仁(九州大学)
  • 副理事長:三浦 昌人(東北大学)
  • 副理事長:渡邉 幹夫(大阪大学)
  • 幹事校:金沢大学(会長校)
  • 幹事校:九州大学(前会長校)
  • 幹事校:琉球大学(次期会長校)
White paper